皆さんこんにちは!
マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。
~樹の病気~
健全な森林経営には「樹木の健康管理」が欠かせません。特に気候変動や外来病害の影響で、近年では樹木の病気が多発し、林業経営に深刻な打撃を与えるケースも増えています。本記事では、林業における代表的な樹木病害とそのメカニズム、現場での対処法について深く解説します。
目次
1. なぜ樹は病気になるのか?|発病の3要因(病気の三角形)
病気は以下3つの要素が揃った時に発生すると言われます。
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感受性宿主(病気にかかりやすい樹種)
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病原体(菌類・細菌・ウイルス)
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適した環境(湿度・温度・密度など)
林業においては、密植状態や排水不良、外来種の侵入が「病害発生のトリガー」になりやすい傾向にあります。
2. 代表的な樹木の病気とその特徴
◾ 松くい虫病(マツ材線虫病)
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原因:線虫とその媒介昆虫(マツノマダラカミキリ)
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症状:葉の褐変、枯死
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被害例:日本全国のアカマツ・クロマツ林で大被害
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対策:伐倒駆除・薬剤樹幹注入
◾ ナラ枯れ(カシノナガキクイムシ被害)
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原因:ナラ菌+カシノナガキクイムシの複合被害
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症状:急激な枯死、樹皮下の虫孔多数
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影響樹種:コナラ、ミズナラ、カシ類
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対策:バイオトラップ設置、予防的伐採
◾ スギ赤枯病(スギ黒点病)
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原因:糸状菌(カビの一種)
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症状:葉が赤く変色し枯れる
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発症条件:高湿度・過密林
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対策:間伐による風通し改善、耐病性品種の利用
◾ シイタケ原木における白色腐朽菌(トラブル例)
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被害例:原木が腐敗し商品価値を失う
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対策:伐採時期の管理、菌種の競合回避
3. 気候変動と病害の拡大リスク
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暖冬により病原体の越冬率が上昇
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長雨による土壌菌の活性化
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台風・風害後に傷口から侵入する二次感染
→ 自然災害+病気のダブルリスクが林業経営を不安定にしています。
4. 現場での防除・予防策の基本方針
対応策 | 内容 | 実施例 |
---|---|---|
衛生管理 | 病木の早期発見・伐採・焼却 | 松くい虫対策 |
環境改善 | 間伐・枝打ちで風通し確保 | 赤枯病予防 |
化学防除 | 樹幹注入、フェロモントラップ | ナラ枯れ対策 |
抵抗性利用 | 耐病性苗木の植栽 | スギ耐病系統の導入 |
監視体制 | ドローンやAIによる林分診断 | 検知技術の導入実証中 |
5. 行政と連携した対策と補助制度の活用
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林野庁による森林病害虫防除事業
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都道府県単位での薬剤注入補助
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防除費用の一部助成制度
→ 地域単位での面的対策(森林全体の健全化)が鍵を握ります。
樹木の病気は林業における「見えにくいリスク」でありながら、経済的損失や森林の機能低下を招く重大な課題です。単なる駆除ではなく、環境管理・多様性・予防重視の森づくりが、長期的な林業経営の安定に繋がります。
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