マエコウ林業のよもやま話~第15回~

皆さんこんにちは!
マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

 

間伐は“抜いた本数”ではなく残した木の将来価値で評価します。光・風・根・水のバランスを設計し、将来材の単価UP×現在の出来高を同時に達成するのがプロの間伐。ここでは、選木基準→間伐様式→レイアウト→伐倒・集材→損傷最小化→下層植生→仕分け・販路→原価→安全→モニタリングまで、現場がそのまま使える型に落とします。

 

1) 目標設定:“光を設計する”という考え方
LAI(葉面積指数)・林冠開空率・胸高直径分布から目標光環境を決める。
密度管理:地位指数×林齢ごとの目標本数/haと**BA(本数基底面積)**で数値管理。
品質目的:枝下高、年輪幅、通直性、節の大きさ。JAS等級を意識して残す木を選ぶ。

 

2) 選木基準:残す木の“顔”をそろえる
幹:通直・テーパー小・傷なし。
樹冠:偏り少・光獲得良、主枝の健全。
根:土盛り・根返り・盤状根はマイナス評価。
負の選木:病虫害・曲がり・二又・被圧樹は優先伐倒。

 

3) 間伐様式:列状・群状・点状の使い分け
列状:機械化・集材効率◎、風害リスク△。両側残しで倒伏分散。
群状:光環境が滑らか、更新促進。作業導線の計画が重要。
点状:ピンポイントで良木を伸ばす。高価値化狙い。
強度:初期は軽度(間引き)、育林後期はやや強度で枝下高・径級を稼ぐ。

 

4) レイアウト:伐倒方向と導線で決まる 
伐倒方向:集材導線と直交を基本に、残存木の樹冠むきと風向、傾斜を考慮。
土場と持ち出し:集材距離を短縮、交差ゼロ。斜面は退避ポケットを30m毎。
雨水排除:路面・作業道の排水を先に作る。水が止まる場所は壊れる。

 

5) 伐倒・集材:サイクルタイム短縮の要点 ⏱️
伐倒:受け口45°・深さ1/4–1/5・ヒンジ1/10–1/8、くさび常備。倒木後の枝払いは足元整理→枝の基部から。
集材:フォワーダの積込順固定(長さ×径級)で迷いをゼロに。ヤーダはターン当たり本数×距離で能力設計。
待ち時間:土場2面体制、ハーベスタ長さプリセットで玉切り迷いを無くす。

 

6) 損傷最小化:残す木を守る
皮剥け:接触ポイントに養生材、重機の振り幅に立入禁止線。
根系:機械の斜め走行と急旋回禁止。雨天は養生マットで路面保護。
枝打ち:将来材は節の位置を意識。鋭角刃で枝の付け根を残さない。

 

7) 下層植生と更新:次の世代を仕込む
光の入れ方で広葉樹の混交を誘導。更新を邪魔するシカ対策(柵・チューブ・電気柵)。
表土保全:裸地化を避け、表層流の制御と桟積み枝で侵食抑制。

 

8) 仕分け・販路:間伐材で“値段を作る” 
長さ:需要先の許容誤差表(±2/±5cm)で迷いを排除。
用途:チップ・杭・内装小径材・景観材・DIYに事前販路を紐付け。
トレーサビリティ:色タグ+QRで等級・長さ・伐区コードを紐付け、クレーム減。

 

9) 原価と採算:良い間伐は赤字じゃない
採算式:収入(用途別単価×材積)−(稼働×時間原価)−運搬−防護費。
改善効果:間伐後の年輪幅縮小→材質向上は、将来のJAS等級で回収。**“今の小銭+将来の大銭”**で設計。

 

10) 安全:ヒヤリをゼロにする文化
TBM:危険3点(挟まれ・転落・飛来)を地図で可視化。
退避:伐倒方向45°後方へ、二本の退避路。
通信:無線チャンネル固定、復唱ルール。わからない時は止まる。

 

11) モニタリング:数値で良し悪しを語る
測定:D級分布のシフト、BA、LAI、残存木損傷率、下層植生カバー率。
写真:定点でBefore/After、枝下高と光環境を記録。
レビュー:出来高、原価、クレーム、事故、KPIを月次で評価。
ケーススタディ:D20中心の人工林、列状強度間伐
条件:地位指数中、傾斜20°、路網密度70m/ha。
施業:列状間伐(1抜き2残し)、土場2面、ヤーダ→土場プロセッサ。
結果:出来高+22%、待ち時間▲18%、残存木損傷1.8%→0.6%、次期主伐の単価見込み+○%。

 

現場で今日からできる3つ ✅
許容誤差表(長さ・径級)をラミネートして重機に常備。
退避ポケットを30m毎に設定し、カラーコーンとペイントで可視化。
定点写真で光環境と枝下高を記録、台帳にリンク。

 

次回の宿題
一つの伐区でLAI・BA・D級分布のBefore/Afterを測り、仕分け単価と出来高の変化を振り返る。

 

 

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マエコウ林業のよもやま話~第14回~

皆さんこんにちは!
マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

 

森林経営計画は“申請書”ではなく経営の設計図。現場で迷わない導線と、資金が詰まらないキャッシュフロー、そして安全と環境の前提を一枚の地図に重ねることが本質です。本回では、(1)棚卸し→(2)路網→(3)施業スケジュール→(4)人員・機械アサイン→(5)原価と収支→(6)リスク→(7)監視KPI→(8)合意形成、までをテンプレ化します。🌲🧭

 

0) 目的とアウトプット 🎯
目的:①安全に稼働 ②赤字現場を作らない ③再造林率を上げる ④地域の納得を得る。
アウトプット:A4×10枚以内の計画書セット(GIS地図、スケジュール、原価表、KPI、合意書式)。長い=良いではありません。

 

1) リソース棚卸し:数字と位置をそろえる 🧮🗺️
林分台帳:林齢・樹種・本数密度・材積(m³/ha)・地位指数・傾斜・作業難易度。
制約レイヤー:保安林区分、河川・湿地、文化財、鳥獣保護区、急斜面、法面崩壊履歴、通信圏外域。
境界:既存杭・石標・過去の立会記録・私設境界。写真と座標で証跡化。
品質把握:胸高直径分布(D級別)、枝下高、曲がり、病害の有無。歩留まり表の初期値を作る。
TIP:棚卸しは“1回完璧”ではなく改善サイクル。現場ごとに観測→台帳更新→次の見積精度UP📈。

 

2) 路網計画:“通す”のではなく“壊れない”を設計 🛣️📐
目標:集材距離の平均100m以下、旋回Rと待避所で交差ゼロ導線。
設計:縦断勾配(作業道8–12%/林道6–10%)、横断勾配2–4%、カーブR≥12–15m、横断溝30–50m毎、湧水の逃げ道確保。
材料・施工:路床転圧回数記録、クラッシャー粒度、法面マット仮撒き。雨期前倒しで排水先行。
維持:大雨後24h点検、詰まりリストの定期清掃。

 

3) 施業スケジュール:年→月→週→日へ分解 ⏱️
10年鳥瞰:間伐→主伐→更新(植栽・下刈・防護)を流域単位で配置。**作業の“連続性”**を意識。
年間計画:雨期・雪期・狩猟期・監査時期・補助採択時期をカレンダー化。許認可の待ち時間を工程に組み込む。
月次→週次:現場の切替タイミング、機械の整備週、教育日(安全・目立て・ドローン)。
日次:TBM(朝礼)のチェック項目、退避ポケットの設定、無線チャンネル、中止基準(降雨・視程)。

 

4) 人員と機械のアサイン:最小の班で最大の出来高 👷‍♀️⚙️
標準班:ハーベスタ1+フォワーダ1+補助1(3名)/ヤーダ型は集材2+土場1など。交替要員の確保で稼働1.2倍。
レイアウト:土場2面(処理用/積込用)で待ち時間削減。交差ゼロを原則に。
保守:日次→油水・グリス・センサー、週次→ローラ・ホース、月次→油圧・フィルタ。壊れる前に止める。

 

5) 原価と収支:式と前提を固定する 💴
時間原価:機械償却+金利+保険+保守+燃料+人件(円/h)。
搬出原価:集材距離・傾斜・路面強度・雨天率の係数で補正。
出来高:1サイクル材積(m³)÷サイクル時間(min)×60×稼働率。
現場採算:収入(用途別単価×材積)−(稼働時間×時間原価)−運搬−再造林費−保険。赤字ラインを事前に計算。
投資採算:路網・機械のNPV/IRR。例:路網90→120m/haで原価▲○%なら投資回収○年と明示。

 

6) リスク管理:トリガーと代替案を併記 🛡️
自然:大雨・台風・降雪・高温。中止トリガー(mm/h・WBGT)と代替作業(整備・仕分け)。
安全:60分行動計画(停止→通報→救急→現場保存)。
市場:単価下落時の用途転換(内装材・景観・熱)。
人員:欠員時の2in1配置(重機+チェンソー)で代替。

 

7) モニタリング:KPIで学習する 📊
KPI:出来高、搬出原価、稼働率、待ち時間比率、納期遵守、安全指標(ヒヤリ・休業災害)、再造林率。
見える化:現場ホワイトボード+月次ダッシュボード。赤信号の定義を数値で固定。
監査:写真台帳(出荷・排水・境界杭・PPE)、認証/補助の証憑をロットで紐付け。

 

8) 合意形成・近隣対応 🤝
1枚説明:工程、時間帯、車両台数、土埃・騒音対策、緊急連絡先。
立会い:境界・伐倒方向・通行。ドローン斜め写真でわかる化。
クレーム対応:24h以内の初動、写真と記録で再発防止へ。
ケーススタディ:6ha急傾斜の主伐更新 🧪
条件:傾斜25°、路網密度60m/ha、集材距離120m、D24中心。
計画:ヤーダ+プロセッサ、土場2面、横断溝40m毎、待避所80m毎。
結果見込み:出来高+18%、搬出原価▲9%、納期遵守98%、再造林率100%。
現場で今日からできる3つ ✅
現場KPIボード(出来高・待ち比率・納期・安全)を作って朝礼で共有。
中止基準(降雨・WBGT・視程)を紙と無線で周知。
路網図に排水・待避・危険レイヤーを追加し、写真台帳と連携。

 

次回の宿題 📝
次の現場についてA4×1枚の計画書(地図・工程・原価・KPI)を作成し、社内レビューにかける。

 

 

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マエコウ林業のよもやま話~第13回~

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マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

 

戦後造成のスギ・ヒノキ人工林は、資源量のピークに向かう一方で、手入れ遅れ・過密・労働力不足・搬出コスト・花粉・風倒リスクなど、多岐の課題を抱えます。しかし“課題がある=価値創造の余地が大きい”ということ。現実的な打ち手を整理します。

 

1) 過密→品質停滞→単価低迷の連鎖を断つ ✂️
間伐の遅れは年輪幅・枝下高・曲がり・節に直結し、JAS等級の壁になります。計測のデジタル化(胸高直径分布の自動化、ドローン写真測量、LiDAR)で“証拠を持って”最適密度へ。歩留まり表を現場で更新し続けましょう。

 

2) 路網×機械化で搬出コストを削減 
路網密度が低いと集材距離が伸び、コストと事故リスクが増大。路面排水・カーブ半径・待避所などの標準仕様を持ち、フォワーダやスイングヤーダと整合する線形で設計。現場の“車線幅”と“旋回”を最初に決めるのがコツです。

 

3) 花粉・風倒・乾燥化への適応 
品種と更新様式の見直し、混交化、列状間伐、林縁の防風帯整備でリスクを分散。乾燥ストレス増大には下層植生の維持と土壌有機物の回復が効きます。被害前提の“レジリエンス設計”で、保険・備蓄・バックアップ路網も整えます。

 

4) 用途開拓:構造材+内装・家具・景観へ 
節や色を“欠点”ではなく“意匠”に変えるのが2020年代の潮流。内装パネル・什器・小規模建築・DIY材・外構・土木仮設など、径級や等級の幅広さを武器に。乾燥・仕上げ・表面加工で単価を引き上げます✨。

 

5) カーボン×地域通貨:価値の二重取り
伐採→利用→再造林の循環が回っていることは、クレジットや補助金、公共調達の加点で“現金化”できます。自治体・企業と連携し、地場で“木を使う”プロジェクトを継続的に生み出しましょう。

 

まとめ
人工林は“改善の余白”が大きい資産です。データで密度と品質、路網で搬出、用途で単価、カーボンで外部資金。課題を“事業機会”に反転させる視点が鍵となります。

 

 

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マエコウ林業のよもやま話~第12回~

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マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

 

「木を育て売る」前に、森が“どう回っているか”を掴むことは収益にも安全にも直結します。ここでは、更新(更新様式)、種多様性、階層構造、土壌と水循環、光環境、病害虫・風倒・雪害など、現場で判断に効くエッセンスをまとめます🔍🌿。

 

1) 更新様式:一斉か、連続か 🌱🌤️
皆伐更新は生産性が高く、路網・機械の効率が出ます。一方、連続林相・択伐は景観・生態・災害面でのメリットがあり、観光・教育・防災の複合価値を狙えます。地位指数・土壌・傾斜・需要で“現場最適”を選ぶ姿勢が要点です🧮📍。

 

2) 種多様性と混交化:レジリエンスのエンジン 🌳🍁
単一樹種は管理がシンプルですが、病害・乾燥・強風に弱い面も。広葉樹の混交や針広混交林の設計は、害虫の伝播抑制や根系の多様化で倒伏リスクを分散します。景観・観光価値の向上、紅葉・花期の魅力づけも副次効果🍂📸。

 

3) 光環境と階層:間伐の“効かせ方” ☀️📏
林冠の切り方次第で下層植生と更新力は激変します。過密なら生長停滞、過度の開放で乾燥・侵食リスク。ドローンや簡易分光での葉面積指数(LAI)推定、地上での胸高直径分布把握を組み合わせ、“光の設計”を定量化🔦🛰️。

 

4) 土壌・水:作業道づくりとも直結 ⛏️💦
団粒構造の維持、表層流の制御、路面排水、堆積物管理は“土砂災害×収益”の両面で重要。現場では雨前後の踏査、湧水の筋の把握、仮排水路・路肩の点検をルーティン化。植生の回復速度も収益の時間価値に影響します🕒🌧️。

 

5) 摂食者・病害虫・自然撹乱 🐞🌬️❄️
ニホンジカ等の食害は更新の最大リスク。防護柵・誘引・間伐タイミングの工夫で被害の“集中”を避けます。病害虫(マツ材線虫等)や台風・湿雪被害の確率分布を理解し、保険・備品・路網バックアップを整備🧯📦。

 

まとめ 🧭
生態の理解は“コストをかける場所とタイミング”の判断精度を高めます。混交・階層・水の制御で、強く美しい森づくりへ。観光・教育・カーボンの複合価値も同時に狙いましょう🌟。

 

 

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マエコウ林業のよもやま話~第11回~

皆さんこんにちは!

マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

 

日本は国土の約7割が森林で、そのうち多くを戦後造成の人工林が占めます。素材生産量の回復、住宅以外の木造需要、脱炭素の追い風など、林業を取り巻く環境は静かに“構造転換”期へ。とはいえ、収益性・人材・所有者不明地・境界・路網など、課題は積層的。ここでは“いま”の全体像を、現場の意思決定に直結する視点で整理します。

 

1) 価値連鎖(バリューチェーン)を俯瞰する
林業の売上は「立木→素材→製材/集成→建築・内装→最終顧客」の連鎖で生まれます。各段階に“ボトルネック”があり、往々にして現場の努力だけでは利益を取り切れません。例えば、①伐出単価の見直し、②丸太の用途別仕分け精度、③乾燥・等級での価値付け、④販路の多角化(住宅材+非住宅、構造材+内装材)、⑤B2Bの継続契約化など、チェーン全体で“粗利が逃げない仕組み”を設計することが肝要です。

 

2) 供給サイド:路網×機械化×安全
収益の基礎は路網密度と機械稼働率に宿ります。作業道の線形・勾配・路面強度、集材距離の短縮、高性能林業機械の適切な編成(ハーベスタ+フォワーダ等)、交替作業での稼働時間最大化、日報の見える化が鍵。安全は“コスト”ではなく“利益の前提”。労災・ヒヤリの削減は稼働の安定化と保険料の低減につながります。

 

3) 需要サイド:住宅一本足打法からの脱却
人口動態と住宅着工の減少を直視しつつ、非住宅・中大規模木造、内装・什器、景観・土木(丸太土留め等)、バイオマス熱利用、カーボンクレジットまで、需要の“面”で捉える発想が必要です。CLTやLVL、内装のデザイン需要、オフィスの木質化など、設計者との早期連携で“用途設計”から逆算するのが勝ち筋。

 

4) 脱炭素と自然資本:二兎を追って二兎を得る
森林吸収源やJ-クレジット等の制度が進化し、木材利用のLCA評価も整備が進みます。吸収量“だけ”でなく、更新・間伐・混交化によるレジリエンス、流域治水や土砂災害軽減といった自然資本の価値も加点対象に。経営は「材積×単価」+「環境価値×売り先」のポートフォリオで最適化を図りましょう。

 

5) ヒト・組織:採用→育成→定着→多能工化 ‍
採用では“給与だけでない”魅力の可視化(週休、装備、安全文化、キャリアパス)。育成はOJT+座学+デジタル教材、定着は評価制度と現場の心理的安全性に直結。チェンソー・集材・重機・測量・ドローンなどの多能工化は、小規模事業体の競争力を底上げします‍‍。

 

6) 収支モデル:現場別の“型”を持つ
傾斜・路網・木齢・樹種の条件で、一番儲かる作業システムは変わります。丸太径級別の歩留まり表、搬出コスト曲線、稼働率、労務費、リスク余裕金まで“前計算”を徹底し、現場ごとにテンプレ化。赤字現場を作らない運用へ。

 

まとめ
林業は“長い時間”を扱う産業です。だからこそ、いま手元の1年計画と10年ビジョンを両持ちにする。需要の多角化・路網と機械・安全と人材・環境価値の組み合わせで、地域と会社の持続可能性を同時に高めていきましょう。

 

 

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マエコウ林業のよもやま話~第10回~

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~アスファルト化~

 

日本各地で道路や宅地の不透水面(アスファルト・コンクリート)が増えると、森林と流域のバランスが変わります。林業にとってはアクセス性の向上というメリットと、水循環の乱れ・土砂リスク・生態断片化というデメリットが表裏一体。現場で役立つ要点をまとめます。


1|水:雨の行き先が変わる

  • 浸透↓・表面流出↑で、下流の増水ピークが立ち上がりやすくなる。

  • 森林側では渇水期の湧水・沢水が細りやすい=苗木活着・間伐後の更新に影響。

  • アスファルト道路からの集中排水が谷頭や法面に当たるとガリー侵食や小規模崩壊の引き金に。

対策
透水型舗装・側溝の分散放流、路面横断排水(カットオフ)・雨庭/調整池の併設、渓畔部の緩衝帯(バッファ)設定。


2|土:締固めと微地形の破壊

  • 舗装・造成で土壌の団粒構造が壊れ、保水・通気が低下。

  • 集材路や土場の恒久舗装は泥濘を減らす一方で、雨の“逃げ道”を用意しないと周囲の林地へ負荷集中。

  • 微地形(凹凸)を均してしまうと、実生床や林床植生が痩せる。

対策
土場は半透水化+周縁に浸透帯、法面はヤシ繊維マット+早期緑化、路網は等高線追従で切土・盛土を最小化。


3|生態:断片化と“縁(エッジ)”効果

  • 舗装道路は生息地の分断を招き、ロードキルや外来種侵入の回廊になりやすい。

  • 林縁は乾燥・高温・風当たりが強まり、スギ・ヒノキ若齢林や広葉樹更新に不利。

対策
野生動物横断構造(ボックス・カルバートの改修)、在来種での林縁帯再生、路肩の外来草本管理を年次計画に。


4|経営:アクセス向上の恩恵とリスク管理

メリット

  • 素材運搬の効率化、災害時の消防・救急アクセス、観光・レクリエーションの受け皿。

リスク

  • 人流増で不法投棄・たき火・盗伐の監視負荷↑。

  • 降雨強度が大きい地域では、補修・排水維持コストが嵩む。

運用の勘所

  • IOTカメラ・入退管理、路網台帳×ドローン点検で維持管理を省力化。

  • 地元と協定を結び、林道の目的外利用ルール(オフロード、BBQ等)を明文化。


“舗装する/しない”の判断フロー(現場版)

  1. 機能:常時通年通行が必要?(救急・観光・通学・物流)

  2. 地形・土質:集水が集中する谷頭・崩壊地形は非舗装+透水設計を原則に

  3. 生態:希少種・渡りルートがあるか(あれば回避or横断構造

  4. 維持費:10年スパンのLCCで比較(補修・排水清掃・法面緑化含む)

  5. 代替案簡易舗装・スラリー・固化土など“半透水”や間欠舗装を検討


低影響(LID)型の組み合わせ例

  • 透水性舗装+生物浄化側溝(バイオスウェール)

  • 交差点手前にレインガーデン、末端に小規模調整池

  • 法面は粗朶・丸太筋工+在来種播種で土砂動態を抑制


モニタリングKPI(簡易で効く)

  • 路肩の侵食長(cm/年)/側溝の堆砂量(L/回)

  • 林縁の枯損・倒木本数/外来草本の被度

  • 小流域でのピーク流量比(整備前後の比較)

  • 補修発生件数/㎞・年費用/㎞・年


事例イメージ(要点)

  • 観光林道の一部を透水化+分散放流に改修 → 豪雨後の路面損傷が減り、下流の濁り苦情が激減。

  • 製品運搬路は交差点と急勾配部のみポイント舗装、中間は砕石路盤+排水横断で維持費を半減。


アスファルト化はゼロか100かではありません。
林業の視点では、「舗装する場所の選択」×「透水・排水」×「緑の補償」が鍵。
この三点を設計と運用に落とし込めば、アクセスの利を活かしつつ、水・土・生態系・経営の健全性を同時に守れます。

 

 

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マエコウ林業のよもやま話~第9回~

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~自然区域~

日本の森林は、亜寒帯→冷温帯→暖温帯→亜熱帯へと南北・標高で滑らかに切り替わります。さらに日本海側の豪雪太平洋側の台風・塩害内陸の寒暖差というローカル条件が重なり、同じ樹種でも“育て方”が変わります。林業経営に直結する観点で、主要な自然区域と勘所をまとめました。


1) 亜寒帯(北海道・本州高標高帯)

  • 主な樹種:エゾマツ・トドマツ・ダケカンバ・カラマツ

  • 現場リスク:強風・着雪折損・凍害、エゾシカ食害

  • 経営の勘所

    • 長伐期&選木・択伐で蓄積を太らせる

    • 冬期路網の凍結地耐荷を活かした搬出計画

    • 防鹿柵・ツリーシェルターで再造林の初期保護

2) 冷温帯(東北~中部山地・日本海側多雪)

  • 主な樹種:ブナ・ミズナラ・トチ・サワグルミ、人工林のカラマツ・スギ

  • 現場リスク:豪雪・雪起こし、ナラ枯れ、急傾斜の土砂災害

  • 経営の勘所

    • 広葉樹の混交化で病虫害と風雪耐性を底上げ

    • 架線集材と高性能機を組み合わせた省力搬出

    • 雪圧対策(植栽密度・列向き・早期間伐)

3) 暖温帯(関東南部~近畿・四国・九州の低~中標高)

  • 主な樹種:スギ・ヒノキ・クヌギ・コナラ(照葉樹はシイ・カシ・タブなど)

  • 現場リスク:台風・豪雨、シカ食害、乾燥期の活着不良

  • 経営の勘所

    • 主伐→再造林→保育を確実に(下刈・除伐・間伐の時期厳守)

    • 花粉・台風対策で低花粉品種・耐風型枝打ち

    • 渓畔・急傾斜は多層林化で土砂災害に強い森づくり

4) 乾燥・塩害フロント(瀬戸内・太平洋沿岸の一部)

  • 主な樹種:アカマツ・クロマツ、コナラ二次林、防潮・防風の海岸林

  • 現場リスクマツ材線虫病、塩害、山火事

  • 経営の勘所

    • マツ単層林を広葉樹混交へ転換、抵抗性マツのポイント導入

    • 海岸林は帯状の役割配分(前列=抵抗力、後列=多様性)

    • 燃えにくい路網設計と下層燃料の管理

5) 亜熱帯(南西諸島)

  • 主な樹種:リュウキュウマツ・オキナワウラジロガシ、マングローブ(オヒルギ等)

  • 現場リスク:強台風・塩害・外来種、薄い土壌

  • 経営の勘所

    • 防風林・景観林と木材利用のバランス設計

    • マングローブ域は保全優先+環境教育・ツーリズム連携

    • 風当たりを読む**樹形づくり(剪定・枝打ち)**と密度管理


横断テーマ:気候・生物災害への“適地適木”再設計

  • 高温・多雨・強風の増加に合わせ、混交・多層・長伐期へシフト

  • 病虫害(松枯れ・ナラ枯れ)は抵抗性樹種・抵抗性品種+発生前の更新で先手

  • シカ食害は植栽前から防護・誘引・密度調整を計画的に

  • 土砂・洪水に対し、渓畔は広葉樹、尾根は耐風性針葉樹など機能配置


区域別の“使えるKPI”

  • 更新成功率(3年生存率)/成長量(m³/ha/年)

  • 間伐実行率(計画対比)/混交率(広葉樹割合)

  • 路網密度・可搬出率病虫害発生率再造林コスト/ha


森林所有者・事業体のチェックリスト

  • □ 自分の林分はどの区域タイプか(気候帯+豪雪/台風/乾燥の補正)

  • □ 樹種構成は単層偏重になっていないか

  • □ 再造林の**初期3年計画(防鹿・下刈・補植)**は明文化済みか

  • 路網と土砂リスクの地形診断を更新したか

  • □ 病虫害の抵抗性樹種/品種の選択肢を検討したか


日本の“自然区域”は、樹種選定・育林・路網・防災の答えを教えてくれます。
自分の森を区域の文脈で捉え直し、適地適木×混交多層×防災設計へ。これが、収益性とレジリエンスを同時に高める最短ルートです。

 

マエコウ林業株式会社では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。

ぜひ求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!

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マエコウ林業のよもやま話~第8回~

皆さんこんにちは!

マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

今回は、

林業が描く希望のある未来!

 


今回は、「林業が描く未来」についてお届けします。林業は古くから日本の暮らしや産業に密接に関わってきた存在ですが、今、環境問題・人口減少・地方創生など多くの社会課題を解決する糸口として、再び注目されています。

未来の林業には、大きな可能性が秘められています。私たちの暮らしや地球環境を支える“希望の産業”として、これからどのように進化していくのかを一緒に見ていきましょう。


1. 林業の未来に期待される3つの役割

 

再生可能エネルギーとしての木材利用

木材は燃やしてエネルギーにする「バイオマス燃料」としても活用されており、化石燃料に依存しない持続可能なエネルギー源です。

  • 山林の間伐材や木くずなどを無駄なく再利用

  • 地域で生まれたエネルギーを、地域で消費する「地産地消型エネルギー」の実現

温室効果ガスの排出を抑える手段として、今後ますますニーズが高まっていく分野です。

都市の森林化とヒートアイランド対策

都市部では緑地の減少が進み、夏の暑さや空気の汚染が深刻化しています。そこで注目されているのが「都市の森林化」です。

  • 公共空間やビル屋上に植栽を導入

  • 木材を使ったベンチや遊具など、都市インフラへの木材活用

  • 木造建築物の普及による都市の温度緩和と快適性向上

森林資源を生かした都市デザインは、未来の暮らしを快適で美しいものにしてくれます。

新しい木材利用と次世代建築

「木材は古い」と思われがちですが、今では高層ビルに使える強度の木材製品も誕生しています。

  • CLT(直交集成板)やLVLなど、高耐久・高強度の新素材が次々登場

  • 木造中高層ビルの建設が世界各地で実現中

  • 木材は軽量で加工しやすく、CO₂を長期間固定できる「カーボンストック」素材でもあります

「木の町づくり」が、未来の建築のスタンダードになる日も近いかもしれません。


2. 未来を切り拓く林業の“5つの魅力”

 

✅ 地域との共生

森林は地方の自然・文化・経済のすべてに深く関わっています。林業を通じて、

  • 地域に仕事と人を呼び込む

  • 自然を守りながら観光や教育にも活用

  • 森と人が共に暮らす、新しい地域の形づくり

が進められています。

✅ 雇用と人材育成の場

林業には多様な仕事があり、若い人・移住者・女性など、新しい働き手が活躍できる場として注目されています。

  • ICT技術やドローンなどを活用したスマート林業

  • 働きやすい労働環境や研修制度の整備

  • 森を舞台にした多様なキャリアパスの創出

✅ 環境保全と生物多様性の守り手

林業は、森林を育てながら自然と共に生きる産業です。

  • 水源涵養・土砂災害防止・気候変動対策

  • 野生動植物の保護や生態系の維持

  • 地球全体の“呼吸”を守る役割

✅ 教育や体験の場としての価値

林業体験や森林学習を通じて、子どもたちに自然と共生する心を育むことができます。学校・企業・地域住民との連携が進んでいます。

✅ 持続可能な地球を支える存在

SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも大きく貢献している林業。未来の暮らしの土台として、確かな役割が期待されています。


まとめ:林業の未来は「希望」に満ちている

 

林業は今、「守る」だけでなく「生かす」「育てる」「つなげる」産業へと進化しています。

地球環境を守る柱として
地域を活性化させる原動力として
未来の仕事を生み出す場として

林業は、私たち一人ひとりの暮らしや社会、そして未来の地球に寄り添い続けてくれる存在です。

これからも、“森のちから”を信じて、地域と共に、地球と共に歩む林業を応援していきましょう!

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マエコウ林業のよもやま話~第7回~

皆さんこんにちは!

マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

 

今回は、

林業の課題と未来への展望


日本の国土の約7割を占める森林。この豊かな資源を守り、育て、活かす林業は、私たちの暮らしと深く関わる重要な産業です。しかし近年、林業は多くの課題に直面しており、産業としての存続や発展が強く問われています。今回は、林業が抱える課題と、それを乗り越えていくための現在の取り組み、そして未来への展望についてご紹介します。


1. 林業が直面している深刻な課題

 

■ 人手不足と高齢化

林業に従事する人の多くは50代以上。若年層の就業者が減少しており、後継者不足が深刻化しています。過酷な労働環境や収入の不安定さも、若い世代の参入を阻む要因の一つです。

■ 木材価格の低下

輸入木材の大量流通により、国内の木材価格が長期的に下落。安価な外材に押され、国産材の市場価値が相対的に低くなり、経営が成り立たない林業者も少なくありません。

■ 森林の荒廃と自然災害

手入れが行き届かない人工林の増加により、森林の荒廃や土砂災害のリスクが高まっています。近年では、台風・豪雨による倒木や地滑りが頻発し、林業従事者の安全確保も大きな課題となっています。


2. 課題を克服するための取り組み

 

■ 技術革新による省力化と効率化

  • ドローンやAIの活用
     航空写真やセンサーを使い、森林資源の調査・管理を効率化。病害虫の早期発見や間伐計画の最適化にもつながります。

  • 高性能林業機械の導入
     ハーベスタやプロセッサーといった多機能重機により、伐採・集材・運搬作業の負担を軽減。作業時間の短縮と安全性の向上が進んでいます。

■ 若手の育成と定着支援

  • 林業体験イベントやインターンシップの開催
     高校生・大学生向けに林業の現場を体験するプログラムが各地で実施されています。林業のリアルを知ってもらい、将来の担い手発掘につなげています。

  • 移住支援や就業支援制度の充実
     地方自治体や林業団体が協力し、移住者への住宅支援・就業支援・資格取得支援を行う取り組みも拡大中です。

■ 木材の新たな利用と市場開拓

  • CLT(直交集成板)などの新素材開発
     国産材を活用した大型パネル材CLTは、耐震性・断熱性に優れ、公共建築や住宅でも注目されています。中高層ビルへの活用も進みつつあります。

  • バイオマス発電や木質ペレット
     間伐材や端材を燃料とする再生可能エネルギーの分野でも木材の利用が拡大。林業の副産物を資源として循環利用する動きが加速しています。


3. 未来の林業に向けた展望

 

■ 「伐って、使って、植える」循環型林業の実現

戦後に大量植林されたスギ・ヒノキが伐採期を迎えており、今こそ資源として活かす時代。適切な伐採・利用・再植林のサイクルを確立することで、持続可能な森林管理が可能になります。

■ 地域と共生する林業の形

森林は木材生産だけでなく、水源涵養・CO2吸収・生態系保全・観光資源など、多様な価値を持っています。林業が地域と協力しながら、これらの価値を最大限に引き出す“多機能型経営”への転換が期待されています。

■ グリーン成長戦略との連携

政府が推進するグリーン成長戦略の中でも、林業は重要な位置を占めています。脱炭素社会の実現に向けた木材利用の拡大や、木造都市構想などの国家レベルの施策と連携することで、新たな成長機会が見込まれています。


まとめ:林業の再生は未来社会への鍵

 

林業は、自然と人間の関わりを見つめ直す機会を与えてくれる産業です。今後も、

✅ 技術革新の導入による効率化と安全性の向上
✅ 若手人材の育成と地域密着型の取り組み
✅ 持続可能で多機能な森林経営への転換

これらを進めていくことで、環境・経済・暮らしのすべてを支える未来型林業が実現できると期待されています。

 

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マエコウ林業のよもやま話~第6回~

皆さんこんにちは!

マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。

 

~病気の予防~

 

樹木の病気は、森林資源の価値を大きく損ない、林業経営に深刻なダメージを与える要因です。特に気候変動や外来病害虫の影響により、今や病気は「まれな事故」ではなく「予防すべき恒常的リスク」になっています。林業における病気の予防法を多角的に解説し、現場で実行可能な対策をご紹介します。


1. なぜ予防が重要なのか?|林業における病害対策の本質

  • 病気が発症してからでは治療にコストと時間がかかる

  • 周囲の樹木へ感染が広がるリスクが高い

  • 生産木・景観木・生態系保全木の健全性維持のためにも重要

→ 林業における病害防除は「事後対応ではなく事前予防が基本


2. 予防の基本原則:3つの視点から見る病気対策

◾ 環境管理:病原体の繁殖を防ぐ

  • 間伐・枝打ちで風通しを良くする

  • 過密植林の解消

  • 林床の水はけ改善

→ 湿気や密集が原因となる病気(例:スギ赤枯病、葉枯れ病)には特に有効


◾ 衛生管理:感染源の除去

  • 病気の兆候がある木の早期伐倒・焼却

  • 伐採後の切り株に殺菌剤を塗布

  • 伐採機械の消毒による病原体の拡散防止

→ 松くい虫病・ナラ枯れなどの二次感染を防ぐために不可欠


◾ 品種・構成管理:抵抗力のある森づくり

  • 耐病性品種(クローン苗や改良品種)を選定

  • 樹種の多様化で一斉感染を防ぐ

→ モノカルチャー(単一種の植林)は病害発生のリスクを高める


3. 病気別の具体的な予防策とポイント

病名 主な予防策 補足
松くい虫病 樹幹注入(薬剤)、マツノマダラカミキリのトラップ設置 周辺の健康木も予防注入対象にする
ナラ枯れ バイオトラップ、罹患木の除去 春〜初夏の繁殖期前の伐採が効果的
スギ赤枯病 通風改善、密植回避、枝打ち 高湿度環境での拡大を防ぐ

4. 新技術の導入:テクノロジーで病気予防を支援

  • ドローンによる空撮診断

  • AI画像解析で病葉・変色葉の早期発見

  • GPS付きフェロモントラップで発生マッピング

→ 省力化と早期対応を両立するスマート林業への展開が進行中


5. 制度・補助金の活用で予防対策を加速する

  • 林野庁の森林病害虫防除事業補助金

  • 各自治体による樹幹注入費用補助

  • 国立研究開発法人の診断・評価支援

→ 予防策には費用がかかるが、補助制度を活用すれば経済的負担が軽減


6. 持続可能な森林経営のために:地域全体での連携が鍵

病気予防は単独の林分(森林区画)だけでは限界があるため、

  • 地域の森林組合との連携

  • 隣接地所有者との協議

  • 市町村単位での面的防除の計画立案

が今後ますます重要です。


林業における病気予防は、「木を守る」ことではなく「森全体を健康に保つ」ための総合的アプローチです。森林の価値と生態系のバランスを守るためにも、予防的な管理こそが次世代林業の基盤となります。

 

 

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