皆さんこんにちは!
マエコウ林業株式会社、更新担当の中西です。
~自然区域~
日本の森林は、亜寒帯→冷温帯→暖温帯→亜熱帯へと南北・標高で滑らかに切り替わります。さらに日本海側の豪雪、太平洋側の台風・塩害、内陸の寒暖差というローカル条件が重なり、同じ樹種でも“育て方”が変わります。林業経営に直結する観点で、主要な自然区域と勘所をまとめました。
目次
1) 亜寒帯(北海道・本州高標高帯)
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主な樹種:エゾマツ・トドマツ・ダケカンバ・カラマツ
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現場リスク:強風・着雪折損・凍害、エゾシカ食害
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経営の勘所
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長伐期&選木・択伐で蓄積を太らせる
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冬期路網の凍結地耐荷を活かした搬出計画
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防鹿柵・ツリーシェルターで再造林の初期保護
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2) 冷温帯(東北~中部山地・日本海側多雪)
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主な樹種:ブナ・ミズナラ・トチ・サワグルミ、人工林のカラマツ・スギ
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現場リスク:豪雪・雪起こし、ナラ枯れ、急傾斜の土砂災害
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経営の勘所
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広葉樹の混交化で病虫害と風雪耐性を底上げ
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架線集材と高性能機を組み合わせた省力搬出
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雪圧対策(植栽密度・列向き・早期間伐)
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3) 暖温帯(関東南部~近畿・四国・九州の低~中標高)
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主な樹種:スギ・ヒノキ・クヌギ・コナラ(照葉樹はシイ・カシ・タブなど)
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現場リスク:台風・豪雨、シカ食害、乾燥期の活着不良
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経営の勘所
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主伐→再造林→保育を確実に(下刈・除伐・間伐の時期厳守)
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花粉・台風対策で低花粉品種・耐風型枝打ち
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渓畔・急傾斜は多層林化で土砂災害に強い森づくり
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4) 乾燥・塩害フロント(瀬戸内・太平洋沿岸の一部)
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主な樹種:アカマツ・クロマツ、コナラ二次林、防潮・防風の海岸林
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現場リスク:マツ材線虫病、塩害、山火事
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経営の勘所
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マツ単層林を広葉樹混交へ転換、抵抗性マツのポイント導入
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海岸林は帯状の役割配分(前列=抵抗力、後列=多様性)
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燃えにくい路網設計と下層燃料の管理
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5) 亜熱帯(南西諸島)
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主な樹種:リュウキュウマツ・オキナワウラジロガシ、マングローブ(オヒルギ等)
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現場リスク:強台風・塩害・外来種、薄い土壌
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経営の勘所
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防風林・景観林と木材利用のバランス設計
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マングローブ域は保全優先+環境教育・ツーリズム連携
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風当たりを読む**樹形づくり(剪定・枝打ち)**と密度管理
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横断テーマ:気候・生物災害への“適地適木”再設計
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高温・多雨・強風の増加に合わせ、混交・多層・長伐期へシフト
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病虫害(松枯れ・ナラ枯れ)は抵抗性樹種・抵抗性品種+発生前の更新で先手
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シカ食害は植栽前から防護・誘引・密度調整を計画的に
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土砂・洪水に対し、渓畔は広葉樹、尾根は耐風性針葉樹など機能配置
区域別の“使えるKPI”
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更新成功率(3年生存率)/成長量(m³/ha/年)
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間伐実行率(計画対比)/混交率(広葉樹割合)
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路網密度・可搬出率/病虫害発生率・再造林コスト/ha
森林所有者・事業体のチェックリスト
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□ 自分の林分はどの区域タイプか(気候帯+豪雪/台風/乾燥の補正)
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□ 樹種構成は単層偏重になっていないか
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□ 再造林の**初期3年計画(防鹿・下刈・補植)**は明文化済みか
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□ 路網と土砂リスクの地形診断を更新したか
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□ 病虫害の抵抗性樹種/品種の選択肢を検討したか
日本の“自然区域”は、樹種選定・育林・路網・防災の答えを教えてくれます。
自分の森を区域の文脈で捉え直し、適地適木×混交多層×防災設計へ。これが、収益性とレジリエンスを同時に高める最短ルートです。
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